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陰陽五行思想についての学びを記録をするブログです。

【周易】沢天夬

いつも陰陽五行思想を学ばせていただき、ありがとうございます。

易経講話』の3冊目、「沢天夬」の章を読んでいます。「沢天夬」というのは易経における64卦の一つで、6本の爻のうち、一番上が陰爻でそれ以外の5本が陽爻の卦。簡単にいうと、良い人たち(陽爻5本)が悪いヤツ(陰爻)を倒すための心構えを書いています。5対1なら簡単にやっつけられそうですが、コトを荒立てず穏当に成し遂げるには様々な心構えと順序、やり方に則ってやるべき、というお話です。

この卦において興味深かったのが、初爻=初九(64卦の卦はそれぞれ6本の線又は破線で示されますが、一番下の初爻から順番に身分が上がっていくので、一番身分が低い爻)にある「志は正しいけれど、不明の誹りを免れない」という説明。正しい志を持ち、やる気があったとしても、上の応援が得られず、周りの応援も見込めない中でむやみに突き進むのは、賢さに欠け、そこにおいて咎められるというもの。志が正しくても、応援を得られないままやみくもに突き進むだけでコトも成し遂げられず、身分も低いまま、というのは、今にも通じる‥というか当たり前のことながら、案外と最近は「やる気重視」「とにかくやるべし」の風潮が強く見られる中では新鮮でした。やっぱりそうだよね、みたいな。

ちなみに、もう一つ興味深かったのは五爻(九五)において、位も志も正しく中を得ているのに、「悪いヤツ」である六爻(上六)の近くにいる(比している)だけでも問題視されるという点。そもそもですが、易経の基本で言えば、九五も上六も正しい位にあるので咎められないと思うのですが、このあたりは「沢天夬」という卦のシチュエーション、流れの中にあってそのような意味になっているのだと思います。

要は、ふだんの生活にあっても「こうしていれば正しい」という型はなく、シチュエーションやコトの流れ、状態によって立場も在り方も正しい対処も異なり、それを示しているということなのですが、このあたりに易経の妙というか、面白さを感じます。

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